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 メビウス運動 
    人間の可能性を生み出す「無限大」の運動
 静功 
    人体の基本構造姿勢について呼吸について体の自然を取り戻す
 動功 
    ダイエットとしての効果健康法としての効果メンタルへの効果
    功法に適した場所と時間について
 
 
 ここでは、健身法の基礎知識について解説します。

メビウス運動

人間の可能性を生み出す「無限大」の運動
 気功体術の練習メニューでは、まず最初にメビウス運動を行ない、体の各部をほぐします。
 気功体術では、体がより分化されていればいるほど、その人の体は進化しており、運動能力が高いと見ます。逆に運動能力の低い人というのは、体を動かさないため、体が固まっているのです。さらに体を動かさない理由は、頭が堅いためにどう動かしていいか分からないのです。このことから、頭と体は相関関係にあることが分かります。実は頭と体は同一のものであり、脳とは筋肉が発展してできたものなのです。最も運動能力が高い人は、まるで全身に脳があるかのような、各部が分解された動きをします。メビウス運動により体を柔らかくすることで、頭も柔らかくします。頭を柔軟にしてよく働くようにし、同時に運動神経も高めることで、結果として闘いにおいても強くなるのだと考えます。
 

静功

 メビウス運動により全身の関節と筋肉をほぐした後で、正しい姿勢と正しい呼吸を学びます。
 神さまは冷たいことに、私たち人間を大地に生みっ放しにして、人体に関する取扱説明書を残してはくれませんでした。そのため人は、生まれた時にたまたま始めた呼吸の仕方を大人になっても続けているだけで、正しい呼吸の仕方を誰にも教えてもらえないまま、現在に至っています。
 武術では、このようなことを許しません。正しい姿勢、正しい呼吸の仕方をきちんと教え、それを行なえる選択権を与えます。
 気功体術では、站椿の時間に「1週間に1回、この時間だけでも、せめて自分が最も正しいと思う姿勢をとって下さい」と言います。解剖生理学に基づいた正しい姿勢をきちんととり、重心が前後左右の真ん中に乗って中心軸が貫かれると、まるで自分が宇宙空間に浮いてるような感覚を味わいます。実際、目をつぶって行なう人が多いようです。正しい姿勢をすることで歪みをとり、慢性病を治していきます。
 
人体の基本構造
 まず、練習に来られる前に知っておいて下さると助かるのが、体を動かす際に中枢となる胴体の7つのポイントです。
 気功体術では、胴体のことを頭部、胸部、腹部の3つをまとめて指します。頭も胴体に含めています。これは、昆虫の体の構造を見ると分かり易いでしょう。昆虫の胴体はご存知の通り、頭部、胸部、腹部にはっきりと分かれています。昆虫の体は外骨格なので、このような3分割がはっきりと見た目に現れるのです。人間は内骨格ですが、基本的に昆虫と変わりません。この3分割構造が、内部に隠れています。さらに昆虫の体をよく観察すると、6本の足が胸に付いています。腹ではないのです。さらに胸から伸びた6本の足は、よく見ると手と足に分かれています。手が2本に足が4本です。人間のように垂直方向に立ち上がっていないため、動物同様に足を4本持っています。それでいて人間のように手を2本持っているのです。昆虫って面白いですね。
 このような昆虫の体の構造は、人間においても全く同じことが当てはまります。人間の手足は、実は胸から伸びているのです。厳密には、そう考えることで手足の機能を最大限に引き出せる、と言った方が正確でしょうか。なぜ胸なのでしょう?それは、胸がバランスの中心にあるからです。それについては、詳しく説明する必要があります。
 仮に、人間の体をオートバイに例えてみましょう。オートバイはあらゆる機械の中で最も小回りの利く乗り物なので、構造的にもシンプルで例え易いからです。
 人間の頭部は、全身の方向をリードするハンドルの役目。腹部は、パワーを上げてスピードを出すエンジンの役目。胸部は、それらの中間にあって、バランスの中心となるガソリンタンク。バイクはタンクさえ操れば、自在にコントロールできると言います。
 これらの役割をもっと単純化して示すため、人間の胴体を1枚の板に例えてみましょう。板と言っても、スポーツに使われる板です。どんなスポーツでもいいのですが、とりあえずここでは皆さんのよく知るスノーボードを例にとりましょう。
 スノーボードのノーズ(前部)は人間の頭部と同じで、ここに荷重すると方向を変え易くなります。スノーボードのテール(後部)は人間の腹部と同じで、ここに荷重するとスピードが上がります。ノーズとテールの中間部は、人間に例えると胸部で、スノーボードのコツは低い姿勢と真ん中重心にあるとベテラン経験者は言います。真ん中を捉えることで、どうにでも操ることができるのだと。これらの原則は、他のボード系スポーツの板全般に同様に当てはまります。たった1枚の単純な板が、動きを得ることによってこのような役割を各部が担うのです。
 人間の胴体の3分割された働き(頭=方向性、胸=バランス、腹=力)は、物理学の法則に基づいた、自然の法則から来る必然性がそのままが活かされたものだと納得できたでしょうか。
 ヒューマノイドという形態は、あらゆる生物の中で最も合理的で、何て機能的に優れた構造なのでしょう。
 
姿勢について
 人体の構造についてかなり理解していただけたと思いますが、ここからが本番です。
 気功体術では、これら3分割した胴体のうち、頭に3つ、胸に1つ、腹に3つのバランスの中枢があると考えます。上から順番に
頭頂、眉間、頸椎、胸椎、腰椎、臍下、会陰の7つです。
 正しい姿勢を考える時、この7つの位置が常に重要になります。この7つの位置が正しい位置にあるのが、正しい姿勢でもあるのです。これらがあるべき場所にないと、慢性病などの原因となります。運動する際にも、この7つの中枢を強く意識することで、体の動きを最大限の効率で動かすことができるのです。

頭頂  文字通り、頭のてっぺんです。前後左右の中心です。この頭頂が、操り人形のように糸で上方に引っ張られている感覚を持つことが大切です。この頭頂さえ正しく意識できていれば、他の6つのポイントも自ずと正しい位置に収まります。
眉間  昔から第3の目と呼ばれ、透視能力を司るとされる場所です。顔の中心は眉間にあると考え、顔全体の中で眉間が最も前に出なくてはなりません(鼻は除いての話です)。それには顎を斜め上に引くと良いでしょう。口を開きっ放しにする癖があるなら、上唇を下唇まで持っていくようにします。口を開けていようと閉じていようと、舌先は上の前歯の裏に付けるようにします。視線は両側面を同時に見られるような気持ちで、視野を広く持ちます。こうして顔は本来の正しい位置に収まります。
頸椎  首の後ろです。横木に押し付けているような感覚で、後ろへ突き出します。顎を斜め上へ引いていれば、自ずとそうなります。
胸椎  背骨の中の乳首の高さの位置を指します。背骨なので、背中側にあります。後ろへ突き出すイメージを持ち、鳩尾を張らないようにします。腕が頸椎と繋がっているイメージができると、肩甲骨で胸を包む感覚が持てます。
腰椎  背骨の中の臍の高さの位置を指します。このポイントがしっかりと中に入っていないと、臍下に力が入らず、便秘の原因になります。腰椎をしっかりと中に入れることで、頭のてっぺんから腹に向かってストンと力が落ち、押し合いをした時に粘り強くなり、またヒップアップ効果にも繋がります。
臍下  いわゆる丹田と言われる場所です。ヘソの下です。頭頂と同様に重要な場所で、ここに正しく力が入っていると、他の6つのポイントも自ずと正しい位置に来ます。
会陰  女性では膣、男性では性器と肛門の中間です。お尻の穴をキュッと締めた時、あるいはおしっこを出す時に力の入る場所と思えば間違いありません。息を吐く時に、最終的にここに力を落とすことで下腹部全体に力が入り、上虚下実の感覚が摑めます。バランス系のスポーツでは、会陰の移動ラインを強く意識してバランスをとります。真っ直ぐに立った時、会陰の重心が両足の中間、さらに前後の中間(土踏まず)へ落ちなければなりません。なおかつ、会陰と頭頂は一直線に貫かれていなくてはなりません。
人体図  「站椿の練習」と言ったら、上記の注意点を踏まえた上、さらに以下の点に注意しながら姿勢を正します。
 肩の力を抜き、手の指先は自然に下へ向けます。
 膝はピンと伸ばし切らず、軽く曲げて余裕を持たせますが、かと言ってつま先より前には出しません。
 自然体で立った時、両足のつま先は約60°に開きます。これより広いとガニ股で、狭いと内股と判断できる目安になります。
 足の裏は、親指と人差指の間から踵の真ん中に向かって引っ張ったラインが中心線になります。スケートをする時ここに体重を乗せると、スケートシューズの刃を垂直に立てられます。この中心線の中でも、前後の中間は土踏まずの位置です。踵側に体重をかけると、安定しますが反応が遅くなります。つま先側、つまりは拇指球に体重をかけると、身軽になりますが安定感がなくなります。その中間である土踏まずにしっかりと乗ることによって、脚腰の歪みが治り、脚を患っている人も快方に向かうのです。足の裏の前後左右の中心となる一点が土踏まずの内側にあり、ここにしっかりと体重をかけることが大切です。
 さらに、左足と右足の中心点を結んだライン上で、左右の真ん中に体の中心軸を落とさなくてはなりません。
 この状態で気の流れをイメージングしながら站椿(内功)を行ないます。
 
呼吸について
 正しい姿勢の次は、正しい呼吸です。
 呼吸は腹式呼吸が体に良いという根強い信仰がありますが、腹式呼吸は寝ている時や瞑想する時の呼吸法であり、普段立って歩いている時、活動している時に、腹式呼吸をしてはいけません。するべき時でない時に腹式呼吸をするような不自然なことをすると、喘息を招きます。
 武術ではこのような呼吸はしません。武術で行なう呼吸は、吸う時は胸式呼吸で、吐く時は逆腹式呼吸です。これは恐らく、どの流派でも変わらぬ原則でしょう。
 言葉で言うと分かりづらいのですが、要は吸う時に胸を膨らませ、吐く時に腹を膨らませる、ということです。
 この呼吸は目を覚まして活動している時の呼吸法です。特に人間は、息を吸う時に攻撃されると一溜まりもありません。そこで通常は息を吸う時に防御の型を練習し、吐く時に攻撃の型を練習します。
 姿勢、呼吸の次はイメージです。呼吸にはイメージを伴います。頭のてっぺんから息を吸い、胸に息を溜め、腹の底に落とします。このようなイメージで呼吸して下さい。その際にも、やはり先に挙げた胴体の7つのポイントが基点になります。さらに胴体のみならず、腕や脚にも気を通す基点を設定します。
 人間の体は、足は親指側、手は小指側に力を入れるのが正しい使い方です。例えば、手は小指を鍛えれば、他の4本の指も自ずと強くなります。足は常に親指側に重心を置くことで、捻挫を防げます。この原則にそって、腕や脚にも効率的に動かすポイントがあると考えます。腕は
肩甲骨、肘、掌。脚は骨盤(専門的には寛骨と言う)、膝、土踏まずです。
 気功体術では、手、足、胴体にある、これら合計19のポイントを基点にして気を通します。
 
 1、 頭頂から息を吸い、眉間、頸椎を通って胸椎に溜める。吐く時は胸椎から腰椎、臍下を通り、会陰に息を落とす。
 2、 左の足の裏(土踏まずの内側)から息を吸い、左膝、左寛骨、腰椎を通して胸椎に息を溜め、吐きながら胸椎から頸椎、右の肩甲骨、右肘を通り、右掌(小指側がメイン)から息を吐き出す。
 3、 2の反対を行なう。右の足の裏から息を吸い、右膝、右寛骨、腰椎を通して胸椎に息を溜め、吐きながら胸椎から頸椎、左の肩甲骨、左肘を通り、左掌から息を吐き出す。
 
1つ目の呼吸  2つ目の呼吸  3つ目の呼吸
 最初は1→2→3の3工程を繰り返し、やがては2と3を同時にやって2工程に減らし、さらには1、2、3を同時に1回の呼吸でやれるようにしていきます。勿論、できなくてはならないというものではありませんので、1→2→3の3工程に分けた呼吸を、丁寧にずっと続けても構いません。
 この時に気がうまく流れない人は、そこに歪みがあるということです。正しい姿勢になっているかどうかを疑って下さい。
 この練習を、気功の中でも内功と言います。
 慣れてくると、次第に体の中に風が通るような感じを得ます。完全に体得すると、これは体の中に一種の電磁波のようなものが流れているんだな、ということが分かります。体にこの通り道ができ、呼吸の通った透き徹った体になると、運動神経は飛躍的に向上します。
 ハエは足の裏でも味覚を感じることができると言いますが、この呼吸を行なうと、ハエのそういった特殊能力を生む身体意識も、理解できるかと思います。
 この呼吸により体を軽くし、足の裏を垂直に浮かす感覚を養います。足の裏全体が浮いている感覚、自分が常に宙に浮いている感覚は、武術においては非常に重要です。技をかける際に、相手に力の出どころを覚らせないことで、抵抗しようとする力を殺いでしまうのです。
 力の出どころが分からないと、相手はどこに対して抵抗していいか分からず、拍子抜けしてしまいます。
 
体の自然を取り戻す
 站椿をしている間は、力を抜いて骨格で立って下さい。
 ゆっくりした呼吸を繰り返し、リラックスします。思考で忙しい頭を空にし、内功を続けます。たとえ5分でも力を抜いた正しい姿勢とイメージングを伴った呼吸を続けて下さい。少しの間でも、いつものストレスに縛られた自分から離れることができると、新しい自分と出会うチャンスが生まれます。「どうしてさっきまであんなことで悩んでいたのだろう」と。
 勝手に体が動く時は、その動きに任せてみて下さい。力を抜くことで、体は普段の動作と反対の動きをしたがることがあるからです。それを素直にさせてあげることにより、歪みが治り、血液の通りが良くなり、病んだ箇所を正常な状態へと戻します。これが人体の持つ自然修復機能で、
自発動と言います。
 気功体術では、このようにして体の声を聞き、自分の体と話をすることで、歪んだ箇所、病んだ箇所を自分で治します。
 人間は頭で記憶するのではなく、実際は体で記憶しています。正確には筋肉が記憶しているのです(内臓もまた筋肉です)。脳は体全体を統合しているだけであり、脳自体も筋肉の一種です。対人関係などでストレスを受けると、その記憶を司る筋肉が病んでいきます。病むというのは、緊張して固くなることです。固くなると血液の循環が悪くなり、感染症への抵抗力も弱くなり、やがては病気として物質化して痛みを伴うことになります。癌はストレスが原因で抵抗力が弱くなり、細胞分裂の際にウィルスに遺伝子を破壊されて起こる病気です。
 病んだ箇所を治すには、その部分の緊張を解き、力を抜いてリラックスさせることです。あるいはそういう想いを患部に送ることです(それを外功と言います)。そうすれば、体の歪みなどは自然に治っていきます。力を抜くことで、本来の自然治癒力が目覚めるのです。疲労の激しい箇所に対しては、そこにいっぱい酸素を吸わせてあげて下さい。毒にやられた箇所に対しては、悪い気を抜いて捨てて下さい。
 以上が站椿(たんとう)の練習です。
 

動功

 站椿で覚えた気の流れを型でも意識することで、正しい気の流れを摑み、内功として内側に現れる体内の機能向上と、外功として外側に現れる技を学んでいきます。
 型では、身体を動かしながら呼吸を深めることを学びます。例えば、腕を上げる動作は肺が広がるので、この時に息を吸い、逆に腕を下げる動作は肺が圧迫されるので、この時に息を吐きます。こういった体を伸ばす補助運動とともに呼吸を深める効果によって、これまでぬぐえなかった頑固なストレスの根を払拭し、爽快な感じを取り戻せるようにします。
 第一段から第六段まである型は、気功体術の練習の中核をなすものであり、技法の根本でもあります。投げ技、関節技、打撃技などバラバラに練習していたものが、やがてはそれらを生み出している大元の型に行き着きます。そして型から、基本技に捉われないオリジナルの技法を生み出せるようになるのです。
 型の練習の効果には、以下のようなものが挙げられます。
 
ダイエットとしての効果
 体内に必要なものを摂り込んでエネルギーを作り、不要なものを排出する働きを、新陳代謝と言います。この働きが低いと、エネルギーの消費も低下して余剰物ができ、それが脂肪となって体内に蓄えられます。体型が崩れるのはそのためです。
 脂肪を効果的に燃焼させるには、有酸素運動が有効とされています。有酸素運動とは、さほど負荷の高くない運動を呼吸に合わせて繰り返すことです。私たちの体は、運動量が高すぎると糖質をエネルギー源とするため、脂肪の燃焼は期待できません。型(動功)は息の上がる運動ではなく、むしろ息を深める運動なので、素晴らしい有酸素運動となり、同時に体をまんべんなく動かすことにより、基礎代謝量をアップします。基礎代謝量の増加は、食べた物がどんどんエネルギーとして使われ、脂肪が蓄積しにくい体質になることを意味します。
 型(動功)で基礎代謝量を高めることにより、脂肪を活発に燃やす、太りにくいヤセ型体質への変化が望めるのです。
 
健康法としての効果
 現代人はストレス社会にあって、常に自分を押し殺すよう求められています。脳がストレスを受けると、その部分と連動した筋肉が硬直して血液の循環が悪くなり、筋緊張の異常による不快感が発生します。さらに運動不足による血行不良と筋肉不足、同じ姿勢を取り続けることによる骨格の歪みと筋肉の鬱血などが加わります。
 型(動功)は、筋緊張を正常な状態へと導き、硬い筋肉に挟まれて悪くなった血流を解放するため、こうした症状を軽減し、再発を防ぐことができます。血液の流れが改善されると、脳の血液循環も良くなりますから、精神的にも疲れがとれます。武術を始めたらいつの間にか肩凝りや腰痛が治ってしまったと言う人は数多くいますが、肩や腰の血行が良くなり、体幹部の筋肉が強化されて負担が少なくなるからでしょう。
 正しい姿勢で体を伸ばす型の効果は、柔軟性の向上、筋肉の凝り解消、血液循環の促進による血液の浄化、内臓機能や自律神経の正常化による消化不良、便秘、内臓下垂、胃十二指腸疾患の改善、免疫機能の向上など、多く挙げられます。
 
メンタルへの効果
 生命維持のため常時働いている神経を、自律神経と言います。この自律神経には2種類あり、緊張を司る交感神経と弛緩を司る副交感神経に分かれます。ストレスを受けると体が身構えるため、交感神経が優位になります。従って、副交感神経を優位に保つことが、心身の緊張を解きほぐし、心を安定させる秘訣となります。
 ゆっくりとした型の呼吸は副交感神経優位を促しますので、雑念や不安から解放された心理状態へと導きます。血圧や心拍数も下がり、脳波はいわゆるα波が出易くなります。さらに脳波が安定して0に近づくほど、奇跡や超能力といった現象も発生し易くなるのです。
 脳波0とは、完全に頭が空になった状態です。型は呼吸とともに動き続けるため、考え事をする余裕がありません。体を動かしながら呼吸に集中することで、雑念を起こす余裕を奪い、強制的に頭を空に持っていくのです。それゆえ、練習に没頭した後の爽快感はなかなか得難いものがあり、またやろうかなと思い始めます。体にいいことを続けるには精神力がないと難しいものですが、こうした好循環に持ち込むことで、努力という意識は自然になくなります。
 このような効果によって得た精神的なゆとりや安定感が、物事の捉え方を変えられるまでにメンタルを調整できるようになり、あるがままの自分を自然に表現できるようになるのです。
 
功法に適した場所と時間について
 功法の練習は、早朝に植物のある場所でやるのが最も効果的とされています。
 植物は人間に与えることしか考えません。何を与えればいいかを常に考え、水分を同時に摂れる果実という食物を与えてくれます。しかし、それは植物の本領発揮ではありません。植物全てが持つ本来の力は、人間に栄養のある空気を与えることです。一般に植物は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すと認識されていますが、実は酸素のみならず、人間の滋養になる成分を考えて吐き出しているのです。緑の多い場所では、頭の働きや健康状態が良くなることからも分かるように、科学的には証明されていませんが、いずれは明らかになることだと思われます。人間がそのことを認識すればするほど、植物の方もそれを与え易くなります。
 気功体術では、この植物の出す空気=
緑風を、人間の滋養の第一義と考えます。光がなくても人間は生きていけます。食べ物がなくても1箇月は生きられるでしょう。水がなくても3日は生きられます。しかし、酸素がなければ人間は一体何分生きられるでしょうか?それを一番よく分かっているのが、植物の方なのです。だからどの植物も、果実を付けることより、栄養たっぷりの空気を出し、大気を浄化することに一番の力を注ぎます。
 植物は根から大地の養分を吸収します。植物の生殖器は花です。生殖器をみんなに見せ、口を地面の中に隠しています。垂直に立ち上がった生物は人間と植物だけですが、胴体の構造を含め、人間とは全てが逆さまです。正反対の性質を持つ植物と人間は、近づけば近づくほど互いに利することがたくさんあるのです。
 早朝が最もいいという理由は、日の出の太陽の光が最も濃密なエネルギーを含んでいるという理由によります。日の出のエネルギーはホルモンの働きを促し、若さを作り出す重要なエネルギーが含まれていると考えられています。その効果は、その日一日の頭の回転の早さとなって現れるでしょう。
 勿論、早朝でなければやってはいけないということはありません。時間帯を選んでばかりで何もやらないよりは、午後であろうと深夜であろうと、やらないよりいいのは明らかなのですから。